企業向け CTO

CTO採用が止まる、よくある四つの原因

CTO採用が長期化するとき、原因は候補者側ではなくポジションの設計にあることが多くあります。要件定義の段階で決めておくべき論点を整理しました。

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CTOの採用が半年を過ぎて動いていない、という相談は珍しくありません。候補者が見つからないという形で相談が来ますが、要件を分解していくと、探し方ではなくポジションの定義に原因があることが多くあります。

以下は、着手前に潰しておくと進行が変わる四つの論点です。

経営陣が技術方針を検討する場面をイメージしたシーン
※イメージ画像

1. 「CTO」が指している仕事が定まっていない

同じ職名で、まったく違う仕事が募集されています。少なくとも次の四つは分けて考える必要があります。

中心となる仕事評価される成果
技術戦略型事業戦略に対する技術方針の決定、投資判断何に投資し、何を捨てたか
組織構築型エンジニア組織の設計、採用、育成、評価制度組織が回るようになったか
プロダクト型プロダクトの意思決定、開発プロセス出荷の速度と品質
実装型自身が設計・実装を続ける動くもの

図1

この四つは求める経験がそれぞれ違い、同時に高い水準で満たす人は多くありません。求人票に全部を書くと、該当者が実質的にゼロになります。どれが中心で、どれは他の人に任せられるのかを先に決めます。

2. 経営会議での位置づけが決まっていない

候補者が最初の面談で確認するのは、技術的な課題よりも先に、意思決定の構造です。

  • 取締役会または経営会議に、議決権を持って出るのか、報告者として出るのか
  • 技術投資の予算を、どの金額まで自分で決められるのか
  • エンジニアの採用と評価を、自分で決められるのか
  • 事業側と技術側の判断が対立したとき、最終的に誰が決めるのか

ここが曖昧なまま「一緒に決めていきましょう」と伝えると、現職で既に決裁権を持っている人にとっては後退の提案に見えます。権限が小さいこと自体が問題なのではなく、説明できないことが問題です。

経営会議での位置づけ議決権を持って出るのか、報告者として出るのか。
技術投資の決裁どの金額まで自分で決められるか。
エンジニアの人事権採用と評価を自分で決められるか。
対立時の決定権事業側と技術側が割れたとき、最終的に誰が決めるか。

図2 候補者が確認する順に、上から

3. 現状の技術負債を伏せている

候補者が入社後に最初に着手するのは、ほぼ確実に既存システムの状況把握です。そこで聞いていた話と違えば、その時点で信頼関係の再構築が必要になります。

選考の中盤以降で、次を開示できる準備をしておくと進行が速くなります。

  • 主要システムの構成と、そのうち手を入れられていない範囲
  • エンジニアの人数、内製と外部委託の比率、直近の離職の状況
  • 現在動いている開発案件と、止まっている案件
  • 過去に技術責任者を置いていた場合、その方が離れた理由

悪い状況を隠さない方が採用は進みます。技術責任者として来る人は、整った環境を求めているとは限りません。むしろ「直しがいがあるか」と「直させてもらえるか」を見ています。

4. 選考の設計が現場採用のままになっている

動いていない人に声をかけて始まった話を、応募者と同じ選考フローに流すと、前半で離脱します。

設計を変えるところ

初回は選考ではなく、事業と技術の現状を説明する場にする。出るのは人事ではなく、意思決定者本人。

コーディング試験や適性検査を課す場合、いつ、なぜ行うのかを事前に伝える。現職の責任者にとっては、理由のない試験は評価の対象になります。

回答期限を短く切らない。現職の引き継ぎを含めて考える時間が要ります。

面接の回数を減らすという話ではありません。回数は必要なだけあってよく、問題になるのは何のための回なのかが説明されていないことです。

1

事業と技術の現状を説明する

選考ではなく情報交換の場。出るのは意思決定者本人。

2

技術的な課題を開示する

整っていない部分を含めて。隠すと着任後に信頼の再構築が要ります。

3

論点を一つ議論する

事前に渡し、正解を用意しない。何を確認しにいくかを見ます。

4

権限と条件を詰める

決裁者が出て、範囲と評価の指標を確定します。

図3 動いていない人に声をかけた場合の設計

着手前のチェックリスト

  1. 四つの型のうち、中心はどれか。一文で書けるか。
  2. 経営会議での位置づけと、決裁できる金額の上限を書けるか。
  3. エンジニアの採用と評価を、その人が決められるか。
  4. 現状の技術的な課題を、中盤で開示できる形に整理してあるか。
  5. 初回に誰が出るか決まっているか。
  6. 着任から一年後に何が変わっていれば成功か、書けるか。

埋まっていない項目があるとき

空欄が残る理由は、たいてい「まだ決めきれない」ではなく「決める人が揃っていない」ことにあります。技術投資の上限は経営側が、エンジニアの評価権限は人事側が、レポートラインは代表が持っている、というように、決定に必要な人が別々にいる状態です。

この場合、候補者に会う前に一度、その三者が同席する場を作る方が結果として速くなります。候補者との面談の場でその調整が始まると、候補者は自分が交渉材料として扱われていると受け取ります。

六つのうち三つ以上が空欄であれば、探し始める前にそこを埋める方が結果として速くなります。埋まっていない状態で会った候補者には、二度目の機会がありません。

本記事は一般的な採用実務の整理であり、特定の企業や案件について述べたものではありません。

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