企業向け INTERVIEW DESIGN

経営幹部の面接を、何回・誰が・何を聞く設計にするか

回数を減らすことが親切とは限りません。経営層の選考では、各回に目的があり、それが説明されているかどうかが候補者の判断に直結します。

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経営幹部の選考で候補者が離脱するとき、面接の回数が理由になることは実はあまりありません。問題になるのは、その回が何のための回なのか説明されていないことです。

現職で責任を持っている人にとって、面接のための時間は簡単には空きません。目的が分かる時間は作れますが、分からない時間は後回しにされます。

経営人材との面談をイメージしたシーン
※イメージ画像

各回に一つの目的を置く

目的出る人候補者に事前に伝えること
1事業の現状と、このポジションが解く課題の説明代表または担当役員選考ではなく相互の情報交換であること
2実務の詳細。数字、組織、進行中の案件同じ層の役員、または現場の責任者どこまで開示するか
3具体的な論点を一つ選んで議論する代表+関係する役員扱う論点を事前に渡す
4権限・報酬・評価の指標と時期決裁者条件の話をする回であること

図1

四回である必要はありません。必要なだけあってよく、各回に目的が一つあり、それが事前に伝わっていることが要件です。

1

現状と課題の説明

代表または担当役員が出て、このポジションが解く課題を説明します。

2

実務の詳細

数字、組織、進行中の案件。どこまで開示するかを先に決めておきます。

3

論点を一つ議論する

社内で決まっていない論点を事前に渡し、一緒に議論します。

4

権限と条件

決裁者が出て、権限・報酬・評価の指標と時期を確定します。

図2 各回に目的を一つ置き、それを事前に伝える

初回に出る人で決まること

動いていない人に声をかけて始まった話の初回に、人事担当者だけが出ると、多くの場合そこで終わります。候補者から見れば、意思決定者が時間を使っていない案件だからです。

初回に代表または担当役員が出ることには、もう一つ実務上の意味があります。この階層では、課題の説明ができる人が意思決定者しかいないことが多いためです。人事担当者が説明すると、必ず「持ち帰って確認します」が発生し、それが二週間の遅れになります。

第三回の設計

評価という意味で最も情報が取れるのは、具体的な論点を一緒に議論する回です。ケース面接のような形式ではなく、実際に社内で決まっていない論点を一つ出します。

何を確認しにいくか情報が足りない状態で、どの情報を先に取りに行くかに経験が出ます。
前提の置き方分からない部分をどう仮置きして議論を進めるか。
反対されたときの扱いここが、着任後の議論の再現になります。

図3 第三回で見ているのは、結論ではなくこの順序

  • 論点は事前に渡す。その場で出すと、準備の質ではなく反射の速さを見ることになります。
  • 正解を用意しない。用意すると、当てにいく議論になります。
  • 見るのは結論ではなく、何を確認しようとするか。情報が足りない状態で、どの情報を先に取りに行くかに経験が出ます。
  • 反対意見が出たときの扱い方を見る。ここが、着任後の議論の再現になります。
この回は双方向である

候補者も同じ場で、この会社の意思決定の仕方を見ています。議論が噛み合わない、あるいは社内の意見が割れたまま整理されない様子が見えると、そこで判断されます。

つまりこの回は、選考であると同時に、会社側が見られている回でもあります。出席者の人選は、その前提で決めます。

聞き方を変えるべき質問

よくある聞き方何が起きるか言い換え
「強みと弱みを教えてください」準備された答えが返る「直近で、判断を誤ったと思う件を一つ教えてください」
「なぜ転職を考えているのですか」動いていない人には答えがない「今の役割で、あと二年で何ができそうですか」
「当社に何を期待しますか」抽象的な答えになる「着任するとしたら、最初の一か月で何を確認しますか」
「マネジメントで大事にしていることは」一般論が返る「直近で人を一人手放した判断について教えてください」

図4

右列に共通するのは、具体的な場面を一つ出させることです。この階層では、抽象的な質問には抽象的な答えが返り、そこからは何も分かりません。

条件の話を最後に置く理由

条件を先に確認してから進めたい、という考え方はありますが、経営層の選考では順番を逆にした方が進みます。

理由は二つあります。一つは、仕事の中身が固まっていない段階で条件だけ提示すると、候補者は「設計されていないポジション」と判断すること。もう一つは、この階層では条件が仕事の内容によって変わるためです。権限の範囲が決まる前に報酬を確定させると、後でどちらかを動かせなくなります。

ただし、明らかに折り合わない水準であれば早い段階で確認しておくべきです。最終回で初めて大きな差が判明する形は、双方にとって時間の損失になります。範囲を早い段階で共有し、確定は最後に置く、という進め方が現実的です。

設計できているかの確認

  1. 各回の目的が一つに絞られているか。
  2. 初回に意思決定者が出るか。
  3. 各回の後、何日以内に次の連絡をするか決まっているか。
  4. 第三回で扱う論点が決まっていて、事前に渡せるか。
  5. 面接官の間で、何を見るかが共有されているか。
  6. 条件の範囲を、いつ誰が伝えるか決まっているか。

五つ目が抜けると、面接官ごとに違う観点で評価した結果が集まり、合議の場で判断できなくなります。経営層の採用でよく起きる「決めきれずに流れる」の多くは、ここが原因です。

本記事は一般的な選考実務の整理であり、特定の企業や案件について述べたものではありません。

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