企業向け INTERIM EXECUTIVE

暫定の経営幹部を置くか、正式な採用を待つか

経営幹部の席が空いたとき、暫定の経営者を置くか、正式な採用を待つか。空白の間に止めてはいけない判断を起点に、インテリム起用の型と、迎える側が決めておくことを整理します。

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経営幹部が突然抜けたとき、あるいは新しい役割を急いで立ち上げる必要が生じたとき、正式な採用が決まるまでの空白をどう扱うかは、多くの企業が向き合う判断です。選択肢は大きく分けて、期限を区切って暫定の経営幹部を置くか、社内で分担してしのぎながら正式な採用を待つか、のどちらかになります。

どちらが正しいという話ではありません。問題になりやすいのは、空白の間に何を止めてはいけないのかを決めないまま、どちらかを選んでしまうことです。本記事では、インテリムの経営者を起用するかどうかを考えるための整理を示します。

経営陣が体制の空白について議論している様子をイメージしたシーン
※イメージ画像

空白の間に、何が止まるのか

経営幹部の席が空くと、まず止まるのは日々の業務ではなく判断です。現場は既存の手順で動き続けますが、予算の組み替え、人員の配置、外部との交渉といった、その役職にしか決められないことが後回しになります。

後回しにされた判断は、積み上がってから表面化します。取締役会や投資家への説明、主要な取引先との更新、進行中の変革プロジェクトなど、期日が外から決まっているものがあるかどうかで、空白の重さは大きく変わります。

領域止まりやすい判断期日が外から決まるか
財務資金繰りの見直し、決算対応、金融機関との調整決まることが多い
事業投資の優先順位、撤退や縮小の判断案件による
組織直属の部下の評価、採用と配置社内の暦で決まる
対外主要顧客や提携先との交渉相手次第

図1 空白の間に止まりやすい判断の例

置くか待つかを分ける二つの軸

判断の手がかりとして、空白の間に必要な判断の重さと、社内に代わりを務められる人がいるかどうかを組み合わせて見る方法があります。

先送りできない判断が多い先送りできない判断が少ない
社内に代行できる人がいない社内に代行できる人がいる

暫定の起用を検討する

判断を先送りできず、社内にも担い手がいない状態です。外部から期限つきで経営者を迎える意味が大きい領域です。

社内代行に支援を足す

代行者に権限を明確に渡し、足りない専門性だけを外部で補う形が考えられます。

正式な採用に集中する

急ぐ判断が少なければ、暫定の起用より正式な採用の質に時間を使う方が合理的な場合があります。

社内で分担して待つ

代行者が日常の判断を担い、正式な採用を落ち着いて進められる状態です。

図2 判断の重さと社内の担い手で、取りうる形が変わる

四つの象限は目安であり、実際にはどこにいるかの見立て自体が経営陣の間で割れることがあります。その場合は、先送りした場合に何が起きるかを判断ごとに書き出してみると、議論が具体的になります。

暫定の経営幹部に何を任せるのか

インテリムの経営者を起用すると決めた場合、次に問題になるのは任せる範囲です。ここが曖昧なまま始めると、暫定のつもりで迎えた人が組織の方向を大きく変えてしまう、あるいは逆に、何も決められず名目だけの存在になる、というどちらかに振れやすくなります。

暫定の起用

つなぎ

正式な後任が来るまで、既存の方針のまま日常の判断を担います。方針の変更は原則として行いません。

立て直し

明確な課題に対して期限つきで手を入れます。任せる範囲と、終わりの条件を先に決めておきます。

立ち上げ

新しい機能や組織をつくり、正式な責任者に引き継ぎます。引き継ぐ相手の要件づくりも役割に含めます。

図3 暫定の起用は、期待する役割で三つの型に分かれる

どの型で迎えるかによって、求める経験も、社内への説明の仕方も変わります。つなぎの役割で迎えたのに、着任後に立て直しを求めるといった途中の変更は、迎えられた側にとっても組織にとっても混乱の原因になります。

暫定の起用は、正式な採用にどう響くか

見落とされやすいのは、暫定の経営幹部を置くことが、正式な採用の進め方にも影響する点です。

良い方向の影響としては、空白の圧力が下がるため、正式な採用で妥協しにくくなることが挙げられます。急いで決めた採用が早い段階で行き詰まる、という形を避ける余地が生まれます。また、暫定の経営幹部が現場を見たうえで、正式な後任に何が必要かを言葉にしてくれることもあります。

一方で注意すべき点もあります。暫定の経営幹部が成果を出すと、そのまま正式に就いてもらう案が浮上することがあります。それ自体は選択肢の一つですが、正式な採用の候補者と同じ基準で比べないまま決めると、要件の検討を飛ばしたことになります。また、社内に候補者がいる場合、暫定の起用が外から招く方針の表明として受け取られることもあります。

起用の前に社内で確認しておくこと

暫定の経営幹部を、正式な後任の候補として扱うかどうか。扱うなら、他の候補者と同じ基準で見ることを先に決めておきます。

社内の候補者に対して、暫定の起用の意図をどう説明するか。説明がないと、意図とは違う受け取られ方をすることがあります。

迎える側が整えておくこと

暫定の経営幹部は、着任してすぐに判断を求められることが多い立場です。受け入れ側の準備が整っていないと、情報を集めるだけで期限の多くを使ってしまいます。

1

先送りできない判断を書き出す

空白の間に止められない判断と、その期日を一覧にします。

2

型と権限を決める

つなぎ・立て直し・立ち上げのどれで迎えるかを決め、決裁できる範囲を明文化します。

3

終わりの条件を決める

期限だけでなく、何が達成されたら役割を終えるのかを定めます。

4

報告の相手を一つに絞る

代表か取締役会か、誰に報告するのかを明確にし、指示の出どころを一本にします。

図4 暫定の経営幹部を迎える前に決めておく順序

特に三つ目の終わりの条件は、後回しにされがちです。期限だけを決めておくと、正式な採用が長引いた場合にずるずると延長され、暫定のはずの体制が固定化します。何をもって役割を終えるかを決めておくと、延長するかどうかの判断も付けやすくなります。

次に何を決めるか

暫定の経営幹部を置くか、正式な採用を待つかは、誰を迎えるかの問題である前に、空白の間の判断をどう扱うかの問題です。検討を始める際は、次の順に整理すると議論を進めやすくなります。

  1. 空白の間に先送りできない判断を、期日つきで書き出す。
  2. それぞれの判断を、社内の誰が代行できるかを確認する。
  3. 代行できない判断が残る場合に、暫定の起用を検討する。
  4. 起用するなら、型・権限・終わりの条件・報告の相手を決める。
  5. 正式な採用の要件と進め方を、暫定の起用と並行して固める。

最後の点は、暫定の起用を決めた安心感から後回しになりやすいところです。暫定の体制はあくまで正式な体制へのつなぎであり、その間に正式な採用の準備が進んでいることが前提になります。

本記事は暫定の経営幹部の起用に関する一般的な考え方の整理であり、特定の企業や案件について述べたものではありません。

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