サーチ会社との初回面談で、何が起きているのか
サーチ会社との初回面談は、選考でも雑談でもない中間の場です。相手が何を見ているのか、何を話して何を確かめるのかを、候補者の側から整理します。
経営層や事業責任者として次を考え始めると、エグゼクティブサーチのコンサルタントから連絡を受けたり、自分から登録を申し込んだりする機会が出てきます。その後に設定されるのが初回面談です。
初回面談は、雑談のようにも、選考のようにも見えます。実際にはその中間にあり、サーチ側が何のために会っているのかを知っておくと、話す内容と確かめる内容を自分で選べるようになります。この記事では、その場で起きていることを順に整理します。

初回面談は選考なのか
サーチ会社は、企業から依頼を受けて経営人材を探す立場にあります。依頼主は企業の側です。このため、初回面談でのコンサルタントの関心は、目の前の人を依頼主に紹介できるかどうか、今でなくても将来の案件で紹介できるかどうかに向いています。
その意味で、初回面談は選考の手前にある評価の場です。ただし、合否が出る場ではありません。また、面談の性格は、特定の案件があるかどうかで大きく変わります。
| 面談の形 | サーチ側が知りたいこと | 候補者が確かめること |
|---|---|---|
| 特定の案件について声がかかった | その案件の要件に合うか、動く意思があるか | 依頼主の事業、役割の範囲、なぜ外部から探すのか |
| 案件を前提としない登録の面談 | どの領域で、どの規模の経営を担えるか | どの業界や機能の案件を扱っているか |
| 情報交換として会う | 市場の見立てと、今後動く可能性 | 相手がこの領域をどこまで理解しているか |
図1 初回面談の三つの形
特定の案件の話だと思っていたら、実際には登録を兼ねた面談だった、ということもあります。冒頭で「今日はどの案件についてのお話ですか」と確かめておくと、その後の会話の前提がそろいます。
コンサルタントは何を見ているのか
職務経歴書に書かれた事実は、面談の前に読まれています。面談で確かめられているのは、その事実の背後にあるものです。層に分けると次のようになります。
図2 初回面談で確かめられていること
下の層ほど、書類からは分かりません。特に最後の層は、コンサルタントが依頼主に紹介するかどうかの判断に直結します。経営層の紹介では、推薦する側の信用も一緒に差し出すことになるためです。
逆に言えば、成果を並べることよりも、その成果の中で自分が何を判断したのかを具体的に話す方が、面談の目的に合っています。
どこまで話すかは、自分で決めてよい
初回面談では、現職の状況、動く理由、報酬、家族の事情など、踏み込んだ質問を受けることがあります。すべてに答える必要はありません。相手はまだ、特定の依頼主に名前を出すかどうかを決めていない段階です。
話す範囲は、この段階の判断に必要かどうかと、外に出たときの影響の大きさの二つで整理できます。
早めに伝える
関心のある領域、動ける時期、譲れない条件。ここが曖昧だと、合わない話が続きます。
範囲を決めて伝える
動く理由や現職の課題。概略は伝え、固有名詞や社内の事情は控えます。
聞かれれば答える
経歴の細部や関心事など。話の流れで自然に出る程度で足ります。
まだ話さない
現職の未公表の情報や、他社との具体的な選考状況。必要になる段階で改めて考えます。
図3 初回面談で話す範囲の整理
現職で社外に出していない情報は、どの段階でも話す対象にはなりません。守秘の範囲に迷う場合は、自分の契約や社内の規程を事前に確かめておくと落ち着いて話せます。
候補者の側から確かめてよいこと
初回面談は、サーチ側が候補者を見る場であると同時に、候補者がサーチ側を見る場でもあります。今後、自分の名前を依頼主に伝えるのはこの相手です。遠慮せずに確かめてよいことがあります。
- 名前を出す前に、必ず同意を取るか。 案件ごとに事前の確認があるかどうかは、最初に聞いておく価値があります。
- どの領域の案件を扱っているか。 得意とする業界や機能が、自分の関心と重なっているか。
- 依頼主について、どこまで話せるか。 案件がある場合、役割の背景や経営陣の構成をどの程度共有してもらえるか。
- 面談の内容が、どのように記録され扱われるか。
これらの質問への答え方は、そのまま相手の仕事の進め方を表しています。答えが具体的であれば、その後のやり取りも見通しが立ちやすくなります。
面談のあと、何が起きるのか
面談後の流れは、案件の有無で分かれます。案件がある場合、コンサルタントは面談の内容を整理し、依頼主に紹介するかどうかを判断します。紹介に進む前には、候補者に意思を確認するのが通常の進め方です。
案件がない場合は、しばらく連絡がないことも珍しくありません。これは評価が低いという意味ではなく、合う案件がまだないという意味であることが多いです。経営層の案件は、時期も要件も依頼主の事情で決まるためです。
間が空いたあとに、別の案件で連絡が来ることもあります。そのときに話が早く進むかどうかは、初回面談で伝えた関心や条件がどれだけ具体的だったかに左右されます。
初回面談の前後で整理しておくこと
動く理由を言葉にする
今すぐ動きたいのか、良い話があれば考えるのか。自分の温度感を先に決めておきます。
話す範囲を決める
伝えること、概略にとどめること、まだ話さないことを分けておきます。
確かめたいことを用意する
名前を出す前の同意、扱う領域、面談内容の扱い。相手を見るための質問です。
面談後に振り返る
何を伝え、何を聞かれたか。次に連絡が来たときの前提として手元に残しておきます。
図4 初回面談に向けた段取り
初回面談で起きていることは、評価と情報交換が重なったものです。どちらか一方だと思い込まずに臨むと、話しすぎも話さなすぎも避けやすくなります。面談のあとに次の一歩をどうするかは、聞いた内容が自分の動く理由と重なっていたかどうかを軸に考えるのが自然です。
本記事はエグゼクティブサーチとの初回面談に関する一般的な整理であり、特定の企業や案件について述べたものではありません。