求職者向け EXECUTIVE INTERVIEW

経営層の面接で、候補者は何を問われているのか

経営層の面接は経歴の確認ではなく、判断の仕方と組織の動かし方を確かめる場です。誰が何を見ているのかを分け、候補者の側で準備しておけることを整理します。

約5分で読めます

経営層・CxOの面接では、担当者の選考でよく聞かれる問い、たとえば志望動機や強み・弱みといった質問の比重が小さくなります。代わりに、ある状況でどう判断したか、その判断をどう組織に通したか、という話が長く続きます。

準備の仕方を誤りやすいのは、この違いのためです。経歴を正確に説明できることは前提にすぎません。面接の相手が確かめたいのは、この人が自社の状況に置かれたとき、どう考え、どう動くのかという見通しです。本記事では、面接で問われていることを分けて整理し、候補者の側で準備しておけることをまとめます。

経営層の候補者が面接に臨む場面をイメージしたシーン
※イメージ画像

誰が、何を確かめようとしているのか

経営層の選考では、段階ごとに面接の相手が変わるのが一般的です。同じ経歴について話していても、相手によって聞きたいことは異なります。相手が何を確かめる立場にいるのかを先に押さえておくと、同じ話でも強調する点を選べるようになります。

面接の相手主に確かめていること候補者の側で用意しておくこと
経営トップ・創業者経営の方向を共有できるか、任せられるか事業の現状に対する自分なりの見立て
取締役・株主の代表判断の筋道と、リスクの扱い方難しい判断をした場面とその理由
同僚となる経営陣一緒に意思決定ができるか、摩擦をどう扱うか意見が割れたときの進め方の具体例
人事の責任者組織の作り方、人の評価と配置の考え方組織を立て直した、または作った経験

図1 面接の相手と、確かめようとしていること

同じ質問を複数の相手から受けることもあります。その場合でも、答えの中身を変える必要はありません。変えるのは、どの側面を先に話すかです。答えの内容が相手ごとに違って聞こえると、面接の後で評価を持ち寄ったときに、一貫性の問題として扱われることがあります。

問いの多くは、四つのことに帰着する

質問の言い回しはさまざまでも、経営層の面接で問われていることは、おおむね次の四つのどれかに帰着します。質問を受けたときに、それがどれを確かめようとしているのかを考えると、答えの焦点が定まりやすくなります。

問われていること

判断の再現性

過去の成果が、偶然や環境ではなく、本人の判断の仕方から生まれたものか。

組織を動かす方法

決めたことを、権限だけに頼らず、どう周囲に通して実行させたか。

相手企業への理解

相手の状況を、公開されている情報の範囲でどこまで読み込んできたか。

移る理由の筋

なぜ今、なぜこの会社なのかが、本人のキャリアの流れとして通っているか。

図2 経営層の面接で確かめられていること

四つ目は軽く扱われがちですが、経営層の選考では重く見られることがあります。着任後に早い段階で離れてしまうことを、企業の側が強く警戒しているためです。現職を離れる理由と、この会社を選ぶ理由が一本の線でつながっているかどうかは、個々の答えの端々から確かめられています。

実績は、結果ではなく判断の筋道として話す

経営層の候補者は、話せる実績を多く持っています。そのため、成果を並べることに面接の時間を使いがちです。しかし相手が知りたいのは、成果そのものよりも、その成果に至るまでに何を判断したかです。

一つの実績について話すときは、当時の状況、選択肢として何があったか、なぜその道を選んだか、何を捨てたか、結果をどう受け止めたか、という順で整理しておくと、判断の再現性が伝わりやすくなります。とくに何を捨てたかは、経営判断の質を示す部分として掘り下げられることが多い点です。

うまくいかなかった経験を問われることもあります。ここで失敗を小さく見せようとすると、かえって判断の筋道が見えなくなります。何を見誤ったのか、どの時点で気づいたのか、その後の判断に何が残ったのかを話せることの方が、評価の材料になりやすいと考えられます。

候補者の側も、面接で確かめている

経営層の面接は、企業が候補者を見る場であると同時に、候補者が企業を見る場でもあります。着任後に任される範囲や、意思決定の実際の仕組みは、説明資料や公開情報からは分かりにくいことが多く、面接での質問が主な確認の機会になります。

  • 決裁の範囲。 自分の判断で決められることと、承認を要することの境目はどこにあるのか。
  • 前任者の状況。 前任がいた場合、何が起きて今回の選考に至ったのか。
  • 経営トップとの関係。 方針が割れたとき、どのように決着をつける会社なのか。
  • 着任後に期待されること。 何をもって役割を果たしたと見なされるのか。

こうした質問は、相手への関心の深さを示すものとしても受け取られます。逆に、質問の機会を与えられて何も聞かないと、準備が浅い、あるいは本気でないと解釈されることがあります。ただし、条件や報酬の話を早い段階で中心に置くと、関心の置きどころが違うと受け取られやすいため、順番には注意が要ります。

答えにくい問いを、どう扱うか

経営層の面接では、現職の内情や、関係者への評価について問われることがあります。守秘義務のある情報や、特定の人物を批判する話は、答え方によって信頼を損ないます。

話せない範囲があるときは、話せないことを正直に伝え、その上で話せる範囲の構造を説明するのが一般的な扱い方です。特定の人物ではなく状況や仕組みの問題として語ることで、自分の判断の筋道を示しつつ、守るべきものを守れます。現職への不満を問われた場合も同じで、不満の列挙ではなく、何を実現したくて何が足りなかったのかとして話す方が、移る理由の筋に結びつきます。

面接の前に、何を整えておくか

準備は、想定問答を増やすことよりも、自分の判断の筋道と、相手の状況を読むことに時間を使う方が実りがあります。順に整理すると、次のようになります。

1

移る理由を一本の線にする

現職を離れる理由と、この会社を選ぶ理由を書き出し、つながっているかを確かめます。

2

実績を判断の単位で整理する

主要な実績をいくつか選び、状況・選択肢・判断・結果の順に話せるようにしておきます。

3

相手企業の状況を読む

公開情報から事業の課題を見立て、自分ならどこから手をつけるかの仮説を持ちます。

4

相手ごとの関心を把握する

面接の相手が誰かを確認し、それぞれが何を確かめる立場にいるのかを整理します。

5

自分が確かめることを決める

決裁の範囲や前任者の状況など、面接で聞いておきたいことを用意します。

図3 経営層の面接に向けた準備の順番

仮説は正解である必要はありません。外から見た見立てと内側の実情との差を、面接の場で埋めていく過程そのものが、着任後の働き方を相手に見せることになります。見立てを持って臨むことが、面接を一方的な審査ではなく、互いに確かめ合う場に変える手がかりになります。

本記事は経営層の面接について一般的な論点を整理したものであり、特定の企業や選考について述べたものではありません。

キャリアの選択肢を整理しませんか

転職を決めていなくても構いません。市場価値の確認や情報収集の段階でのご相談も承ります。秘密厳守で対応します。

無料キャリア相談を申し込む →