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経営企画の責任者を外から採るとき、社長の右腕として何を任せるのか

社長の右腕という言葉が指す仕事は、人によって違います。経営企画の責任者を外から迎える前に、中心に置く役割、任せる範囲、社内での位置づけをどう整理するかをまとめました。

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経営企画の責任者を外から迎えようとするとき、社内で最初に出てくる言葉は「社長の右腕がほしい」であることが多いようです。ただ、この言葉が指すものは人によって大きく異なります。中期経営計画をまとめる人、予算と管理会計を回す人、新しい事業や提携を探す人、社長の考えを整理して各部門に通す人。どれも経営企画と呼ばれます。

何を任せるのかが決まらないまま候補者に会い始めると、面接ごとに評価の軸が変わり、決めきれない状態が続きます。本記事では、経営企画の責任者を外部から採る前に、社内で整理しておきたい論点を順に見ていきます。

経営陣が事業計画を検討する会議をイメージしたシーン
※イメージ画像

「右腕」という言葉は何を指しているのか

経営企画という部署は、会社によって中身が大きく違います。同じ肩書でも、ある会社では計画と予算の取りまとめが中心で、別の会社では提携や投資の検討が中心になります。外から人を迎えるときに問題になるのは、社長の頭の中にある「右腕」の像と、候補者が経営企画という言葉から思い浮かべる仕事が一致しないことです。

経営企画

計画と管理

中期経営計画や年度予算をまとめ、進捗を追い、計画との差を経営会議に上げる役割です。財務部門との分担が論点になります。

戦略と投資

新しい事業領域、提携、買収などを検討し、案を経営に示す役割です。案を出したあと誰が実行するかが論点になります。

社長室機能

社長の意思決定を整理し、論点をまとめ、各部門へ伝えて動かす役割です。社長との距離そのものが仕事の前提になります。

変革の推進

組織や事業の再編など、部門をまたぐ取り組みを動かす役割です。現場の責任者との権限の線引きが論点になります。

図1 経営企画の責任者に求められる役割の主な型

実際にはこれらが混ざった形になりますが、中心に置くものを一つ決めておくことで、求める経験がはっきりします。計画と管理が中心であれば数字の扱いと財務部門との協働の経験が、戦略と投資が中心であれば案を実行まで運んだ経験が問われます。四つすべてを求めると、当てはまる候補者はほとんどいなくなり、面接では誰もが何かしら足りないように見えてしまいます。

任せることと、社長が手放さないこと

右腕という言葉には、社長の仕事の一部を引き受けてもらうという含みがあります。それなら、どの仕事を渡し、どの仕事を社長が持ち続けるのかを先に書き出しておくと、候補者との会話が具体的になります。

領域任せる場合に決めること社長が持ち続ける場合に伝えること
計画の策定原案の作成から経営会議への提出までの裁量方向性を決めるのは社長であり、責任者はその整理を担うこと
部門との調整部門長に直接依頼や差し戻しができるか最終的な調整は社長が行い、責任者は論点を準備すること
取締役会への説明責任者が自ら説明する場面があるか説明は社長が行い、責任者は資料の準備を担うこと
社外との窓口投資家や提携先とどこまで直接やりとりするか窓口は社長に置き、責任者は同席と準備を担うこと

図2 任せる範囲を書き出すときの観点

どちらの列が正しいということはありません。大切なのは、採用の前に社長自身が線を引いておくことです。着任後に「そこまでは頼んでいない」「そこまで任されていると思っていた」という食い違いが生じると、関係の修復には時間がかかります。

社長との距離をどう設計するか

経営企画の責任者は、肩書の上では他の部門長と同じ階層にいることが多い一方、実際には社長と過ごす時間が長くなりがちです。この距離は強みにも弱みにもなります。社長の意図を早く正確につかめる反面、部門長からは社長の代弁者と見られ、率直な意見を言いにくい相手として扱われる場合があります。

社内での権限が明確社内での権限があいまい
社長との距離が遠い社長との距離が近い

独立した部門長

自分の判断で動けますが、社長の考えを汲み取る機会が少なく、計画が経営の意図とずれることがあります。

権限を持つ参謀

社長の意図を理解したうえで部門に働きかけられます。部門長との関係づくりが前提になります。

資料の取りまとめ役

情報が集まらず権限もないため、期待された役割を果たしにくい状態です。

社長の代弁者

社長には近いものの、部門からは伝言役と見られやすく、本人の判断が通りにくくなります。

図3 社長との距離と社内での権限の組み合わせ

外から来た人は、社内の人間関係を持たない状態から始まります。社長との距離だけが近く、権限があいまいなまま着任すると、右下の状態に置かれやすくなります。どの象限を目指すのかを決め、それに合わせて部門長への紹介の仕方や会議での位置づけを整えておくことが、受け入れ側にできる準備です。

候補者のどこを見るか

経営企画の経験者は、資料をまとめる力や分析の力については一定の水準を備えていることが多く、そこでは差がつきにくい傾向があります。差が出やすいのは、案を作った後に何が起きたかです。

  • 自分が作った計画や提案が、実行の段階でどう扱われたか。うまく進まなかった場面で何をしたか。
  • 社長や経営陣と意見が分かれたとき、どう伝え、最終的にどう決着したか。
  • 自分より社歴の長い部門長に、変更や差し戻しを求めた経験があるか。
  • 社長の考えをそのまま伝えるのではなく、自分の判断を加えた場面を語れるか。

前職で経営企画が担っていた役割と、自社で任せたい役割が同じとは限りません。経歴を見るときは、肩書ではなく前職での経営企画の型を確かめると、期待とのずれを早めに把握できます。面接の場で、先に整理した型と任せる範囲を候補者に示し、自分の経験がどこに当てはまると考えるかを聞いてみるのも一つの方法です。

候補者に会う前に、社内で何を決めておくか

ここまでの論点を、候補者に会う前の準備としてまとめると次のようになります。

1

中心に置く型を決める

計画と管理、戦略と投資、社長室機能、変革の推進のうち、何を中心に据えるかを社長と人事責任者で合わせます。

2

任せる範囲に線を引く

計画、部門調整、取締役会、社外窓口のそれぞれについて、任せることと社長が持ち続けることを書き出します。

3

社内での位置づけを決める

部門長に対してどのような権限を持つのか、着任時にどう紹介するのかを決めておきます。

4

評価の観点をそろえる

面接に出る人の間で、案を実行まで運んだ経験をどう確かめるかを共有します。

図4 経営企画の責任者を外から迎える前の整理

経営企画の責任者は、社長の仕事の進め方そのものに深く関わる役職です。そのため、採用の準備は社長自身が自分の役割を見直す作業でもあります。何を手放し、何を持ち続けるのかが言葉になっていれば、候補者もこの仕事で何を期待されているのかを判断しやすくなります。

本記事は経営企画の責任者を外部から迎える際の論点を一般的に整理したものであり、特定の企業や案件について述べたものではありません。

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